VRC調査 第一章 目的と研究手法について
お世話になっております!株式会社VLEAPの新保です。
ついに!2020年度「利用者調査から見た日本におけるVRChatのコミュニティと経済圏」(略称VRC調査)に関する調査報告を始めさせて頂きます。
全部で10回の連載になり、今回は序論・本研究の目的や研究手法に関してになります。本日から3日に一回のペースで投稿していければと考えております!どうぞよろしくお願いいたします!
序論 VRChatとは その特異性
VRChatとは
2016年よりVR元年が始まり、今年はOculusQuest2が驚きの値段で発売されたほか、数々のVRソフトが発売されるなどVRにとって追い風の続く年となりました。
こういったVRソフトの中でも、特に同時接続数が高いのがVRChatです。(以下VRC)
VRCを簡潔に言えば3DCGで構成されたVR世界でのコミュニケーションを提供する無料のツールです(注:ゲームではありません。)
ユーザーはVR機器またはPCを用いてVRCにログインし、同じく中にいる他のユーザーたちとコミュニケーションをしたり、Unity やBlender を用いて作成した自作のアバターや服、アクセサリーまたはworld をVRCにアップロードしたり、コミュニティを作ったりするなど、非常に自由度の高いツールになっています。
ゲームのようにVRCからユーザーに提供される共通の目的は無く、中でどのような活動をするかは一定のルールを除いてすべてユーザー自身にゆだねられています。
VRChatの特異性
さて、このようなサービスの総称はVirtual World (仮想世界)、ソーシャルVR、metaverse (メタバース)、VRSNS などいくつかに分かれています。
前年度までは論文として提出する都合上、Virtual Worldとしていましたが、今回はかなり個人的な記事となるため、自分の好きな呼称である「メタバース」を用いていこうと思います!
VRCの同時接続数は現在販売されているVRコンテンツの中でも突出しています。
Steamcharts の統計を見てみると、2020年12月時点での一日の同時接続数のピーク数で、VRCに次いで最も遊ばれているBeatsaber で2597人のPavlov VR が1398人、VRCと同じく仮想世界サービスであるRecroom が464人なのに対し、VRCは20742人と突出していることがわかります。
本研究の目的
上記のような人気の理由の解明こそが本研究の目的であり、
これを探るべく、「VRCにできあがっていると見られる独自のコミュニティと経済圏がその人気の要因ではないか」
と仮定し、「VRCの利用実態とVRC界隈のコミュニティやコミュニケーションのあり方、そして3DモデルやVR関連機器などの購買状況について調査」するものになります。
研究手法
インタビュー
11月16日から募集を開始し、19日から29日まで10日間の間で18名にインタビューを行いました。
お一人辺り30分~1時間ほどのインタビューをさせて頂き、事前に設定していた項目以外にも、深堀りする形で聞かせていただきました。
大規模アンケート
12月13日から7日間、42項目の定量的なアンケートをさせて頂きました。
総回答数722名、重複や無効と判断させて頂いた回答(記述が不明瞭・悪ふざけ)を除いた有効回答数は698名となりました。
Google formを用いて、選択または記述式で回答して頂きました。
集計
集計に際して、まず最初に名前や記述式の箇所を比較することで、重複回答を削除しました。
そのうえで集計を行い、選択肢+その他(記述式)の回答のうち、その他を分類したうえでグラフ化しました。
記述式の回答に関しては、分類が可能な職業などの質問に関しては手動で分類分けを行い、それ以外の回答に関しては株式会社ユーザーローカル様の提供しているAIテキストマイニングを行って解析しています。
最後に
本年度のアンケートにおいて、前年度の576名を大きく超える、722名もの方々から回答を頂けたこと本当にうれしく感じております!
本研究は前年度との比較をする為、まずVRChatの利用実態を把握したうえで、クローズドコミュニティ、オープンコミュニティに関わる調査結果と考察を紹介し、次に成り立ちつつある経済圏について記述し、比較していければと思います。
次回より、いよいよ実際の数値を用いた報告をさせて頂きます!どうぞよろしくお願いいたします!!!!