VRC調査 第五章 VRChat オープンコミュニティについて その2
お世話になっております!株式会社VLEAPの新保です。
今回は前回に引き続き、ユーザーが特にオープンコミュニティでどのような行動をしているのかについて解説していきます!
第五章は、新しい人と出会うきっかけ、参加したイベントの種類、主な利用目的、アカウントの性質、人格を分けているかについてです。
どうぞよろしくお願いいたします!
前回記事「VRC調査 第四章 VRChatオープンコミュニティについてその1」の記事を読む
VRChatで新しい人と出会うきっかけ
まずはVRChatで新しい人に出会うきっかけについてです。
前回の調査では、publicワールドの行く理由の44.9%が新しいフレンドを作るためでした。では、新しいフレンドを作るきっかけはPublic instanceが多いのでしょうか?
以下は新しい人と出会うきっかけについて、「選択肢+その他」方式で集計しました。
これを見ると、publicinstanceでの交流は25.6%と多いものの、最も多いものはイベントでの交流の34.3%や、知人・友人の紹介の32.8%が次に多い結果となりました。
前年度との比較
前年度との比較です。前年度は最も多いのが友人・知人の紹介であり、次いでpublicワールドでの交流でした。
今年度最も多かったイベントでの交流は、去年の時点ではまだ3位であったため、2020年に入って新しい出会いの場となるイベントが増えたと言えるかもしれません。
VRChatで参加したイベントの種類
次に、参加したことのあるイベントの種類に関してです。
ユーザー同士が最も会う機会の多かったイベントですが、どういった種類のイベントが開催されているのでしょうか?
選択肢から、当てはまるものをすべて回答して頂きました。
これを見ると、定期的に開催されるイベントに参加している人が最も多い結果となりました。
こういったイベントは、運営がユーザーのために開催したものではなく、ユーザー自身が開催しているものが殆どで、そのイベントの種類は非常に多岐にわたっていることがわかっています。
アバター、飲み会、バー、食事会、朝のラジオ体操、偉い集会、交流会、クラブ、初心者歓迎等など、本当に多岐にわたっており、一日で多い時は十件以上開催されています。
こういったイベントの中でも、定期的に開催されるイベントには84.2%と多くの方が参加されているようです。
インタビューでは、偉い集会、朝のラジオ体操や特定の方がオープンしているバーなどが当てはまるようです。
前年度との比較
こちらは前年度の比較です。前年度は数日間にわたって開催されるイベントが最も多い結果となっていました。
最も大きな要因としては、Oculus Quest2発売が2020年10月だったのに対して、Vket4開催が2020年4月、Vket5開催が2020年12月19日だったため、新しくOculus Quest2を購入してVRChatを始められたユーザーさんが、vketに参加していなかった事が考えられそうです。
Twitterとの連携とアバター人格の形成
前年度の調査やインタビューを通じ、VRChatはVRChat内だけでコンテンツが閉じてしまいがちであることがわかっています。
またVRChat内にメッセージ機能がなく、VR空間にお互いがログインしていない状態で交流を行うのが困難であるという特徴があります。
そのため、ユーザーはTwitterやブログ、一部はYouTubeなどに写真や動画などをアップロードすることで告知や交流を行なっています。
ここからは、オープンコミュニティの重要な役割を果たしているTwitterについての調査になります。
VRChatユーザーの、Twitterの主な利用目的
Twitterの主な利用目的について、「3つ選択+その他」方式で回答して頂きました。
グラフを見ると、最も多かったのが74.1%のVRChatで出会った人と繋がるためでした。
次にVRChatの写真や動画を共有するための73.1%、情報収集するための67.1%となりました。
中でも、写真や動画を撮る行為はVRChatでもかなり普通の行為として行われており、インタビューさせて頂いた時も写真や動画を一緒に撮ることが多くありました。
前年度との比較
前年度との比較ですが、前年度は情報収集が最も多い結果となりました。
VRChatユーザーの、Twitterアカウントの性質
次に、VRChatユーザーのtwitterアカウントの性質に関してです。
VRChat用に、Twitterアカウントを用いている人が多いのではないかと思い、調査してみました。選択肢のみで回答を募集しました。
結果としては、54.8%がVRChat用のアカウントを持っていることがわかりました。
ここから、VRChat用としてtwitterアカウントを用いる人が一定程度存在することがわかります。
前年度との比較
前年度は59.6%と、本年度は少し下がった結果となりました。
VRChatやTwitterで、人格を使い分けているかどうか
では、こういった人はVRChatまたはtwitter上で、リアルと人格を分けているのでしょうか?
以下は選択肢+その他で選択して頂いた結果になります。
予想に反して、分けていないと回答された方が最も多く57.5%という結果になりました。
インタビューでも、人格を分けずありのままでいるという方が多く、それが心地いいと回答される方が多くいらっしゃいました。
前年度との比較
まとめ
以上が、VRC調査2020オープンコミュニティに関してになります!
前年に引き続く結果となりますが、最も大きな特徴はやはり、ユーザーのいる所にユーザーが集まってくるというネットワーク外部性にあります。
特にイベントをユーザーが開くことによって、ユーザー自身が自発的に他のユーザーを集めて緩やかなコミュニティを形成していることも判明しました。
こういった特徴は、VRChat以外にメタバースを志向したサービスが出現した際も、VRChatの強みとして強力に働き、ユーザーの流出を防いでいると思われます。
また、一般に思われているように、ユーザーの多くが人格を変えたりといったことはなく、多くの人が自然体でVRChatを使っていることがわかりました。
次回は更に狭く深いコミュニティである、クローズドコミュニティに関してです!
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