VRC調査 第七章 VRChat経済圏について その1
お世話になっております!株式会社VLEAPの新保です。
今回からは、本調査の仮説の大きな一角を占めるVRChatに関連した経済圏について、インタビューとアンケートをもとに考察していきます。
第七章はVRChatで今使っているアバター、アバターの自作・改造経験、アバターなどVRChat関連で消費した金額、バーチャルマーケットへの参加経験、バーチャルマーケット5に参加するかどうか、Boothでの販売経験に関してです!
どうぞよろしくお願いいたします。
前回記事「VRC調査 第六章 VRChatクローズドコミュニティについて」の記事を読む
VRChatにおける経済圏
VRChatそのものには、現在VRchat+という課金要素が存在するものの、それ以外ではゲーム内通貨や現実のお金を使った取引は存在しません。
しかしアバターや関連するアクセサリーに関するニーズが存在し、それを補っている存在がBoothなどの外部の販売プラットフォームになります。
また、VRChatをプレイするために用いるVR関連機器やPCといったハードに関しても、大手法人が作るものだけでなく、個人の方がBoothなどで販売されるものも存在しています。
第7章から第9章までは、この経済圏に関して考察していければと思います!
現在メインで使っているアバター
ではまず最初に、VRChatでどのようなアバターが使われているかです。
2019年度調査の際に、VRChatにおいてアバターを売買するという経済圏の発生に、バーチャルマーケットが大きく貢献した事が判明しています。
(その際の調査はこちらに纏められています。)
では、実際にユーザーがどのようにして獲得したアバターを使っているかを見ていきたいと思います。
選択肢で回答を募集しました。
結果としては、「購買したものを改造した方」が圧倒的に多く72.8%という結果になりました。
次に「自作されている方」が15.6%と続く結果になりました。
自作はもちろん、改造にもある程度のUnityやBlenderといったソフトの専門的な知識が必要になるにもかかわらず、これだけ多くの人が改造や自作を行っているのは驚くべき結果と言えます。
前年度との比較
実は前年度も同じく、購買したものを改造したり自作したりする方が多くを占めていました。
前年度と比べると、「購買したものを改造する方」が12.8%増加し、その一方で「自作された方」が6.9%減少する結果となりました。
インタビューの中では、近年非常にクオリティの高いアバターが販売されるようになって来ており、アバターを自作するよりも改造する方が高い満足度を得られるようになってきたいう声を頂きました。
この様に、VRChatには自作または購入したアバターを改造するという文化が存在していることがわかります。
アバターの自作・改造経験
では、実際にどれくらいのユーザーが自作や改造経験があるのでしょうか?
選択肢で回答して頂きました。
これを見ると、「改造も自作もしないという方」は僅か5.2%にとどまり、最も多かったのは「改造のみする人が56.1%」、次に「両方する方」が31.6%と続く結果となりました。
実にユーザーの94.8%が何かしらの改造や自作をしているというデータは、職業としてITを営む方が17%しかいないことを考えると驚きです。
VRChatは単に交流の場でなく、クリエイターの集うプラットフォームととらえることも出来るでしょう。
前年度との比較
前年度と比べると、やはり自作される方が減少し、改造される方が増える結果となりました。
アバターなどVRChat関連で消費した金額
では、アバターなどVRChat関連で消費した金額はどうなっているでしょうか?
Boothなどソフト関連で消費した金額に関して、選択肢で回答して頂きました。
またグラフは今までは多い順で並び替えていたのに対して、金額の多い順となっています。
結果としては「5万円以上使っている方」が最も多く26.4%、「2万円から3万円以上使っている方」が16.9%、「10万円以上使っている方」が17.5%という結果になりました。
ユーザーの94.8%がお金を使っている上に、5万円以上や10万円以上使っているユーザーがここまで多いのは特筆すべき特徴だと言えます。
比較として、株式会社三菱総合研究所が出したスマホゲームの動向に関する調査によると、ゲームにお金を払ったことはないと回答した人が71.1%に上ることを考えると極めて高い数値であると言えます。
前年度との比較
前年度との比較です。
前年度と比べると、2020年度はよりお金を使っていらっしゃる方が多いことがわかります。
もちろん、今までの累計であるために前年度ご回答頂いた方の積み重ねはあるものの、それでも10万円以上使った方が9.2%、5万円以上使っている方が6.6%増加していました。
インタビューから、近年クオリティの高いアバターが出ている一方で、前年度まで一体辺り3000円~5000円ほどだったアバターの値段が、近年では1万円以上するアバターが増加している事がわかっています。
確認したところ3万円以上するような高価であるものの非常にクオリティの高いアバターも販売されていました。
バーチャルマーケットへの参加経験
次にバーチャルマーケットへの参加経験に関してです。
アバター文化に大きく貢献したバーチャルマーケットですが、実際どれくらいのユーザーが参加していらっしゃるのでしょうか。
今まで参加したことのあるバーチャルマーケットを回答して頂きました。
結果として、60%のユーザーがバーチャルマーケット4に参加した経験がある事がわかりました。続いてバーチャルマーケット3の42%が続く結果となりました。
一方でアバター形成に大きな影響を与えたと考えられるバーチャルマーケット1は16.5%、バーチャルマーケット2は27.4%という結果となりました。
ここから、バーチャルマーケットそのものに参加したことで、多くのユーザーがいきなりアバターを購入するようになったのではなく、参加したユーザーが参加していなかったユーザーと交流し、購入や改造の魅力を伝えたことで徐々に文化が伝搬・形成して行ったことが推測出来ます。
バーチャルマーケット5に参加するかどうか
次に、バーチャルマーケット5に参加するかどうかに関してです。
選択肢で回答して頂きました。
これによると、68.5%の方が参加すると回答されました。これにより、バーチャルマーケット4よりも多くの方が参加されると思われます。
一方で「参加しない」と明言された方も17.9%いる結果となりました。
インタビューの中ではバーチャルマーケットを楽しみにしている方がいらっしゃる一方で、出展者数の増加によりショップが埋もれてしまう事や、企業ワールドと一般ワールドの扱いの差に関して言及されている方もいらっしゃいました。
次のバーチャルマーケットは、常設のショッピングモールという形で開催されることが発表されており、今後の動向が注目されています。
Boothでの販売経験
次にアバターの販売経験に関してです。選択肢で回答して頂きました。
これによると「販売されたことのある方」は少なく11.7%という結果になりました。
一方で販売された方の中には100万円以上の利益を上げられている方もいらっしゃいました。
前年度との比較
前年度は「出典経験のある方」は15.2%いらっしゃったため、今年度は3.5%減る結果になりました。
Oculus Quest2などの影響もありVRChatのユーザー数が増えていることも影響しているかもしれませんね。
まとめ
以上の様に、VRChatではBooth等を中心としたアバター経済圏が存在し、ユーザーにもアバターを売り買いして改造をする文化が根付いていると言えます。
観測している限り、この経済圏は現在まだ日本やアジアなどにとどまっているため、日本のメタバースの強みとして今後大きく伸びる可能性があると言えるでしょう。
次回からは、PCやVR関連機器といったハード面に関連する調査になります!
どうぞよろしくお願いいたします。
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